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理性と意気地
無限に拡張され続ける思考に我が心身は磨耗し、ついに限界に達し破裂した。 その散り散りになってゆく肉片となり私は考え、口上を続ける。 --しかしながら理性を以て私は確かに世界をこの手で掴んでいたではないか。 生命と運命の連関。 なるほど人間は世界を無限に拡張し続けることが出来る。 しかしその場合、いつか理性はついに身体を破壊するだろう。 ただ、破裂した肉体の、その塵に近い肉片に残された最後の意気地だけは、私のものである。 そして、それは魂にも理性にも非ず。
violetapplemachine
6 日前読了時間: 1分
POETRY ORGANISM
見よ、 我が魂は懐に、 烈日に撃たれ影を落とすのみ 掌に食い込む指を以て千切りとられた光源は 純白から黒に変貌する 抉り取るがいい 黒を 魂の黒を 烈日の白 魂 の黒 そうして詩を描くのだ 魂の、詩を知っているか 暗礁に乗り上げた巨船が空を仰ぐように 針の穴に残された糸屑たちの悲しみを そうあらざるを得なかった針の哀歌よ見届けるか 泡立つ雨に生白い喉を捧ぐ黒い花のように 針先の潜る皮膚の打ち震える喜びを そうあらざるを得なかった心の唄よ知っているか 今際の際 伸ばした手を踏みにじられた時のように 何物にもぶつけられぬ行き場のない怒りを そうあらざるを得なかった焼け尽きた芯のくすぶりよ聞こえるか ついに分かり合えた時のように 日々から逸脱した壮絶なほどの嬉しさを そうあらざるを得なかった生きているお前よ 忘れてはいないか 全ては詩に帰結する そう、お前の腹を食い破ろうとする詩だ 臓物と血にまみれた美しさを纏う詩だ お前が歌わないで誰が歌うのか お前以外の誰が詩を現前させる
violetapplemachine
6 日前読了時間: 4分
Determination In the Dark
誰? わたしはあなたの身体に咲いた蓮 …掴まれて、揺り起こされて、震えた。 …。(呼吸。) (わたしは、あなたの身体に咲いたきれいな蓮) あなたを狂わせてでも (昏い水の底で保たれていた、こころ) 「あらゆる宿命を詩のためとし…」 (誰のこころ? わたしのだよね…) 「それは生きようとする」のよ …会話がはじまる。 「愛してる?」 「愛してる。」 「ごめんね。」 「いいのよ。」 わたしはあなたの身体に咲いた真っ白な蓮 ごらん、蓮の花がひらくよ。 「泥の中にいる人は大丈夫かな?」 「わからない。」 「愛してる?」 「愛してる。」 何度も確かめるんだね。 わすれないように。 わすれないように。 「理性っていうのはね、いいかな… 狂気と…(不明瞭) でも気づかないのよ。」 わたしは書くことをやめられない。 もう、いいんだ。 もう、たくさんだ。 泥の中にいる人は大丈夫? 大丈夫じゃないよね… うたた寝のように…(不明瞭) 蓮は一度だけ咲く。 その機会を、逃してはいけないよ。 救って すくって 泥を、すくって 息がまだうまくできないの… …(不明瞭) …(
violetapplemachine
6 日前読了時間: 2分
傍観者
厳粛なさざめきも 存在の重量も 空気の軽さの最中に塵として舞っている それら全てを一心に我々は花束に物語らせる 花束を撒く 花束は塵を掻いて刹那に月光を断った
violetapplemachine
10月13日読了時間: 1分
冬の忘れ物
冬の忘れ物は 春を見ていた 陽光と半開きのドア その先に進むことが 私に出来るだろうか 桜はそよ風に乗り 蝶々が嬉しそうにその間を縫う 私にその先へ行くことが できるだろうか 冬の忘れ物は 冷たく冴える瞳を閉じた 冬の忘れ物は 春の果てを目指し飛び立った...
violetapplemachine
10月8日読了時間: 1分
怪獣の絵
怪獣の絵は額縁に収まった。 絵は額縁よりもっと大きいのである。 だが綺麗に収まってしまった。 怪獣の姿を描いた絵は、綺麗に額縁に収まってしまった。 怪獣の腹のクローズアップだけが額縁に収まり、芸術作品となる。 実に間抜けである。 怪獣もこれでは報われなかろう。...
violetapplemachine
10月8日読了時間: 1分
呪い
呪いは言葉のかたちをしたあなたの似姿で、あなたを深く慈しんでいる。 我々はこの真心の前では痛みに無頓着でいることが出来てしまう。 だから、 感覚を区別するために時間と手間を掛ける必要がある。 呪いとはいずれ決別する必要があるかもしれない。...
violetapplemachine
10月8日読了時間: 1分
我が憤怒
ひとつ、ふたつ、みっつ。 みっつ、ふたつ、ひとつ。 その光は人の形を採っており、 人型の容器に我々はおさまり、 そうであるから我々は群れを成す 我々光たちは滑車より遅く、水車よりは速く。 (一個の魂に、あえなく鈍く光る魂の一群が突き立つ...
violetapplemachine
8月10日読了時間: 2分
kingdom(In The Realms of)
鮮血のような太陽が、 朽ち果てたコンビニのレジ袋が 置き去りにされたままなのを 干からびるまで溶かそうとしていた。 地団駄を踏む、 地団駄を踏む、 地団駄を踏む。 同時に、 童話の登場人物たちは、私の中で いつでも私を待っており、私を愛している...
violetapplemachine
8月10日読了時間: 1分
mistletoe
ふたりのつないだ手が、大勢の身体が、溶けてゆく やがてそれは水となり海となり…星となって そして溶かし切れないものは棘の形をした泡となって消えますようにという、祈り 何処へも行かない 何者にもなれる 何者にもなれない せめて星になりたい 宿木があなたの背に根を付ける...
violetapplemachine
8月10日読了時間: 2分
名づけて
あなたには名前がない。 過去にも未来にも現在にさえも、あなたは名前がない。 ただ、あなたには名前がある。 生まれてから死ぬまで愛称で呼ばれていくの。 呼ばれなかった名前とは、呼ばれた名前のこと。 そう「ある」と「ない」は反対の言葉ではないのよ。
violetapplemachine
8月10日読了時間: 1分
破壊と再生
蒲公英の根は地表を貫きやがて地球の芯に到達した 星の内核を絡めては吸い上げて養分にし、艶やかに咲き誇る蒲公英だ 世界はこのように何度も壊されて春の訪れを告げた
violetapplemachine
8月10日読了時間: 1分
閃光
生きてきた時間の累積 日常の累積 非日常の累積 薄れていく記憶たちの累積 人と人が関わって何かが起こったことの累積 きわめて小さな火花 線香花火 丸く膨らんで落ちる 夜の黒にスッと引かれるいくらかの閃光 それを楽しむ真夏の人々 入れ子 無限の入れ子 外側から観測できる人生...
violetapplemachine
8月10日読了時間: 1分
Oxygen
「等身大の自分」で生きることはあらためて難しいのでオルタナティブな在り方を確立するのが最適解ですね。 となると対応するための指針となる思想をひとつ持っておいて、かつ「誤った方向」に見えている道が正しさのあるルートだって分かれば、大丈夫そうです。...
violetapplemachine
5月30日読了時間: 2分
縺
黒い表紙の手帳を開けばそこ一面に書いてあったものです 筆跡のていを成していないそれは私の日記でした 眺めている…眺めていた。 すると白の紙面に叩き付けられていた大きな黒の糸屑が 浮かび上がり解けてゆくではありませんか 字とも言葉ともていを成さないそれは長い長い一本の糸になる...
violetapplemachine
5月30日読了時間: 1分
ふたりは今晩
ちいさな鏡はくたびれた雑貨とともに打ち捨てられて忘れられていた。 鏡はその表面に外界を映すことができたが、彼はそれがただの幻であることをよく知っていた。 鏡には自分の存在理由が分からなかった。 持ち主に忘れ去られ、映り込む像はただの像だし、まさに俺は役立たずであると認識して...
violetapplemachine
5月30日読了時間: 3分
邪悪
邪悪が、そこらじゅうで楽しそうに跳ねている。 邪悪は鞠の形をしており、ふわふわとした黒いなめらかな毛がその身を覆っている。 撫でてみると心地が良い。 きっといい匂いがする。 大小さまざまな邪悪が居る--といっても、最大でバランスボールくらいの大きさである。...
violetapplemachine
5月30日読了時間: 2分
物語の始まり
はじまりとは触れられないことだ。 そして何かが終わるとき、私達はようやくそれに触れることができるんだ。 触れたかった。 キリギリスは夏のあいだ物語で遊ぶ。 キリギリスは秋が来ても物語を手放さない。 終いには冬が来てもキリギリスは物語を慈しんだ。...
violetapplemachine
5月30日読了時間: 2分
喜びについて
喜びの果てにあるものは歓喜ではない 夏の終わりはさざめき暮れる 取り残される向日葵はしっかりと背丈を揃え 秋の終わりはしらべの揺らぎ にぎやかな人々の喧騒の唄をオルゴールに閉じ込め 冬の終わりはせつなの切れ間 家路を辿る視界のゾートロープ 早く回すか遅く回すかでいつまでも楽しむために そうして 春の終わりは喜び 夜のもと 眠りは一日を絶つ しかし 朝になると太陽は前日の名残りを照らす 眠りが絶つ日に対しそしらぬ顔をし そうして 人々は日々を営む それを奇跡と表現しながら 太陽は決してはぐれてはゆかない そうであることを皆知っているはずだ ささやかな眠りと知っているからこそ 死んだように眠る日も 季節はとどこおり うつろうことなく互いを気に掛ける 離れていくことのない四季は 曼珠沙華の咲き乱れる閑散とした夕暮れ 昼の熱気は長引いている 染井吉野も負けん気を発揮して、饒舌に咲き誇る 枯れた花々は熱された大地に憩い、彼女たちに身をささげる 金木犀は蜃気楼の中佇む 千々に散り乱れる花弁 歌が聴こえるだろう あなたの唄う綺麗な歌が 健やかなその全身から
violetapplemachine
5月30日読了時間: 2分


「Bedroom Gospel」リリース
Bedroom Gospel - Violet Apple Machine Release date : 2025/1/31 Credit : lyric, compose, arrange, voice, mix, mastering and artwork...
violetapplemachine
2月3日読了時間: 2分
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