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​詩
最終更新 2025/10/8

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冬の忘れ物は 春を見ていた/陽光と半開きのドア/その先に進むことが/
私に出来るだろうか……

蒲公英の根は地表を貫きやがて地球の芯に到達した/星の内核を絡めては吸い上げて養分にし……

ふたりのつないだ手が、大勢の身体が、溶けてゆく/やがてそれは水となり海となり、星となって……

喜びの果てにあるものは歓喜ではない/夏の終わりはさざめき暮れる/取り残される向日葵はしっかりと背丈を揃え……

ちいさな鏡はくたびれた雑貨とともに打ち捨てられて忘れられていた。鏡はその表面に外界を映すことができたが、彼はそれがただの幻であることをよく知っていた。……

怪獣の絵は額縁に収まった。/絵は額縁よりもっと大きいのである。/だが綺麗に収まってしまった……

生きてきた時間の累積/日常の累積/非日常の累積/薄れていく記憶たちの累積……

鮮血のような太陽が、/朽ち果てたコンビニのレジ袋が/置き去りにされたままなのを……

邪悪が、そこらじゅうで楽しそうに跳ねている。邪悪は鞠の形をしており、ふわふわとした黒いなめらかな毛がその身を覆っている。……

黒い表紙の手帳を開けばそこ一面に書いてあったものです/筆跡のていを成していないそれは私の日記でした/眺めている…眺めていた。……

呪いは言葉のかたちをしたあなたの似姿で、あなたを深く慈しんでいる。/我々はこの真心の前では……

あなたには名前がない。/過去にも未来にも現在にさえも、あなたは名前がない。……

ひとつ、ふたつ、みっつ。/みっつ、ふたつ、ひとつ。/その光は人の形を採っており、……

はじまりとは触れられないことだ。そして何かが終わるとき、私達はようやくそれに触れることができるんだ。触れたかった。……

「等身大の自分」で生きることはあらためて難しいのでオルタナティブな在り方を確立するのが最適解ですね。……

©2025 Fuu

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